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『TRIP TRAP トリップ・トラップ』
角川書店 1,470円
女の過程(初出:「野性時代」2009年7月号)/沼津(「野性時代」2008年7月号)/憂鬱のパリ(「野性時代」2008年11月号)/Hawaii de Aloha(「野性時代」2007年9月号)/フリウリ (集英社web文芸「レンザブロー」2009年3月20日配信)/夏旅(「野性時代」2009年9月号) 計6編
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『蛇にピアス』
監督: 蜷川幸雄
出演: 吉高由里子、高良健吾、ARATA、あびる優、ソニンほか
アミューズソフトエンタテインメント
芥川賞を受賞したデビュー作は08年に映画化された。吉高由里子さんの体当たりの演技も大きな話題に。小説と違うラストに金原さんは「ある日突然、そのラストシーンが感覚的に理解できた。蜷川さんのラストは、視覚的に記憶に残る形で撮られていると感じました。サスガですよね」と語ってくれた。
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金原ひとみ
83年生まれ。03年『蛇にピアス』で第27回すばる文学賞を受賞しデビュー。同作で04年、第130回芥川賞を受賞。他の著作に『アッシュベイビー』『AMEBIC』『オートフィクション』『ハイドラ』『星へ落ちる』『憂鬱たち』がある。
撮影:ホンゴユウジ
小説家になるか
水商売をするか
20歳の美人作家がデビュー作で芥川賞を受賞。ボディピアス、タトゥー、身体改造、激しい肉体関係・・・受賞作『蛇にピアス』のセンセーショナルな内容も相まって世の脚光を浴びる。注目された第2作『アッシュベイビー』では小児性愛、同性愛を描いた。いったい金原ひとみさんとは、どんな激しい人生を歩んでいるのだろうか・・・。
―― 20歳にして芥川賞を受賞されましたが、受賞された時のお気持ちは?
「普通にうれしかったです(笑)。でも、あのころは芥川賞を狙うどころか芥川賞がどういうものかさえよくわかっていなかったので、訳も分からずという感じでした」
―― 12歳から小説を書き始めたそうですが、ずっと小説家になろうと思われていたのでしょうか。
「いつか小説家になるだろうとは思っていました。でも、デビューを焦っていたわけでもなく、機が熟せばなれるだろうと漠然と考えていて。なれなかったら水商売だな、とは思っていました」
『自分の変化で作品も変わる
小説には実体験が反映される』
―― 最新刊『TRIP TRAP トリップ・トラップ』は"旅"をテーマにした6本の連作ですが、主人公はすべてマユという女性ですね。
「15歳から25歳という、女性がいろいろな変化を経験する年代の話なので、一人にも複数の女性にも捉えられる書き方にしようと思いました」
―― 金原さんは現在25歳。この作品の最後も25歳のマユですが、内容的にも金原さんご自身に重なることが多いと思います。実体験は作品に投影されるのでしょうか。
「私は、まったく自分と関係のない主人公はあまり書きません。自分の感情や思いを取り出し、そこに人としてのディテールを加えていくような人物設計をしています。なので、自分の変化に合わせて小説も変化していきます」
『十代で同棲、25歳で一児の母
堅実な人生を歩んでいます』
―― 作中の「女の過程」では15歳で学校に行かずに男と同棲するマユ、「沼津」では17歳でナンパ待ちするマユが描かれていますが、金原さんの十代はどんな生活でしたか。
「十代半ばで同棲を始めて、毎日家事をして食わせてもらうという生活だったんです。だから、いわゆる連日遊びほうけるような生活は中学時代で終わりでした」
―― 20歳で芥川賞受賞。その後、結婚、出産と26歳にして私たちの3倍くらいのスピードで生きている印象です。作品の印象と反して堅実な人生ですよね。
「もう死ぬかもしれませんね! でもやりたいことをやって生きていたらこうなっていた、という感じなので、早すぎるという印象はありません。私の周りも早々に遊び疲れて結婚して出産して、という子が多いです」
―― 作品のイメージだと、愛憎入り混じる激しい人生を送る方なのかと・・・。
「今後はわかりませんよ! でも基本的にすごく慎重な方なんです。石橋はガンガン叩いて、絶対に壊れないことがわからないと渡らないタイプ。特に小説に関しては真面目だと思います。破天荒な生き方に見えるかもしれませんが、それは石橋を叩き尽くした果てに起こっていることなんです」
『小説を書くのは恥ずかしい行為
だからこそ"おしゃれ"が必要』
―― 芥川賞作家の日常を教えてください。
「大体会社員と同じです(笑)。7時に起きて子供を預け、その後、喫茶店で5~6時間PCに向かって執筆。その後仕事の雑用や家事をして、お迎えに行きます」
―― 金原さんは執筆する時に、キチンとメイクしてお気に入りの服に着替えて書くという逸話をきいたのですが。
「メイクやファッションは、一種の社会性だと思うんです。完全に閉ざされた自分だけの空間で書くのではなく、外で書くというのもそうなんですけれど、最低限の社会性を持った小説に仕上げたいという気持ちから。小説を書くということは、排泄や食事に似て、自然だけど恥ずかしい行為だと思っているんです。だからこそ、自信がないと書けないこともたくさんある。自分のプライドを保つためにも、メイクやおしゃれが役立つと思っています」
―― 今一番、興味を持っていることは?
「作家としては、現在執筆中の新作。家族、母、母性をテーマにしたもので、初の連載なので生活のペースが全然掴めなくて、ボロボロです(笑)。孤独を感じますが、このテーマにはそれ位が合っているかな・・・。女性としては、コスメ、ネイル、ショッピング! 締め切りの後の一番のリフレッシュでもありますね」
(取材・文/坂本ゆかり )



















