ちょこアゲ


Monthly Interview 蒼井優

02
蒼井優
蒼井優
蒼井優
蒼井優
『おとうと』
監督:山田洋次 脚本:山田洋次・平松恵美子
出演:吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優、加瀬亮 ほか
配給:松竹
2010年1月30日より全国ロードショー
『おとうと』公式サイト  http://www.ototo-movie.jp/
(C)2010「おとうと」製作委員会


<STORY>東京の郊外で、夫亡きあと小さな薬局を営み、一人娘の小春(蒼井優)を育ててきた姉・吟子(吉永小百合)。大阪で何ひとつ成し遂げられないまま歳を重ねてしまった弟・鉄郎(笑福亭鶴瓶)。小春の結婚式の日、音信不通だった鉄郎が突然現れ、酔っぱらって披露宴を台無しにしてしまう。そんな彼をもかばう吟子だったが、ある出来事をきっかけに、鉄郎に絶縁を言い渡してしまう。喧嘩したり、許したりを繰り返す家族に、いつかは必ず訪れる最期の別れ。どのように家族を看取り、現実を受け入れていくのか。戦後の昭和に生まれ育った姉と弟の切りようにも切れない絆。そしてそれを見守るバブル景気の直前に生まれた娘と幼なじみ。日本映画界の巨匠が描く、現在とこれからの日本の家族の物語。


蒼井優
蒼井優
1985年福岡県出身。99年ミュージカル「アニー」のオーディションに合格しデビュー。『リリィ・シュシュのすべて』(01/岩井俊二監督)で映画デビューし、同監督の『花とアリス』(04)、『ニライカナイからの手紙』(05/熊澤尚人監督)などに出演。06年、『フラガール』(李相日監督)で第30回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞など数多くの映画賞を受賞。その後も『ハチミツとクローバー』(06/高田雅博監督)、『人のセックスを笑うな』(08/井口奈己監督)、『明日への遺言』(08/小泉尭史監督)、『百万円と苦虫女』(08/タナダユキ監督)、『TOKYO!~シェイキング東京~』(08/ポン・ジュノ監督)、『ホノカアボーイ』(09/真田敦監督)などに出演。『いけちゃんとぼく』(09/大岡俊彦監督)では声の出演をした。日本映画界に欠かせない若手女優である。

『大親友の結婚式でのハプニング
イメトレまでして臨んだのに…』

巨匠・山田洋次監督が久々に描く現代劇は、吉永小百合さんと笑福亭鶴瓶さんが姉弟を演じる笑いと涙溢れる家族の物語『おとうと』。ベルリン映画際でのクロージング上映も決まった、世界が注目する作品だ。吉永小百合さん演じる吟子の娘・小春を演じた蒼井優さんにきいた。

―― 物語は小春の結婚式をきっかけに動き始めます。蒼井さんご自身が経験された結婚式でのエピソードなどありますか。

「実はつい最近、親友の結婚式があったんです。もちろん鉄郎(笑福亭鶴瓶)のように酔って暴れるということはなかったのですが、とにかく涙が止まらなくって・・・(笑)。唯一「この子が親友です」といえる友達で、最後に友人代表のスピーチを頼まれていたんです。それまで散々泣いていたので、スピーチでは「もう泣かない!」と決めて、内容をしっかり反すうして、泣かないためのイメトレもバッチリしていたのですが、いざ新婦友人として紹介されたら、なんとマイクにたどり着く前に号泣。自分でも予想外の展開でした(笑)。イメトレはまったく役に立ちませんでしたね」

―― まわりの反応はどうでしたか?

「最初は優しい目で見守ってくださっていたのですが、スピーチ中も泣き続けていたので、だんだんとまわりから笑い声や、「ガンバレ!」という声援まできこえてきてしまって。自分でも気付かなかったのですが、「えーん」って泣いてしまっていたみたいなんですよ。恥ずかしい・・・(笑)。結婚式の後、親友からお礼のメールが来て、それを読んだらまた泣いちゃいました。プライベートであまり泣くことはないのですが、この1日で何十年分も泣いた気がします」

『想像もできない世界に行ける
巨匠・山田洋次監督との仕事』

―― 山田洋次監督といえば日本映画界の重鎮ですが、どんな方でしたか。

「優しい方でした。でも、山田組のスタッフの皆さんが「優しくなったのは今回から。昔は厳しかった」とおっしゃっていました(笑)。長い間監督のお仕事をされていて、確固たる地位も築かれているのに、映画作りに対しての好奇心がすごいんです。ギリギリまでこれがベストなのかを熟考されて、いろいろな案を出してくださる。その情熱や集中力に、撮影中はいつも驚かされていました」

―― 蒼井さんご自身のお芝居に、山田監督の演出はどのように作用しましたか。

「山田監督は、自分では想像もできないような世界に連れて行ってくださるんです。監督のおっしゃる通りに演じてみて、納得することや新しい発見がたくさんありました。勉強になりましたし、「自分ももっと柔軟にならなくては」という決意も生まれました」

『私の母娘関係
そして母役・吉永小百合さんのこと』

―― 吟子と小春の母娘関係も物語の核となりますが、蒼井さんご自身とお母様の関係はいかがですか。

「私と母は、すごく似ているんです。「似過ぎていてイヤになる」と母も言うくらい(笑)。中学生のときに、福岡から母と上京したのですが、その時の母は"父から私を預かっている"という意識からか、とても厳しかったのを覚えています。そんな母の気持ちを知らずに、福岡にいた頃より厳しくなった母に反発したこともありましたが、今はとても感謝しています。それと、特に似ていると思うのが、"怒ると黙る"ところ。ふたりで怒っていると黙ったままなので、冷戦のようです(笑)。最終的には私が謝ってしまいますね」

―― 憧れの日本女性ともいえる吉永小百合さんがお母さん役でしたが、吉永さんはどんな方でしたか。

「まわりの方に"素晴らしい方"だとは伺っていたのですが、実際にお会いしたら本当に素敵な方でした。休憩の時もずっとお話しさせていただいて、私が吉永さんを離さなかったくらいです。吉永さんといると楽しいんです。「こんなに素敵な方はいない!」と声を大にして言いたいですね。親子役で共演でき、間近で吉永さんの演技を見ることができたことは、貴重な経験になりました」

―― お母さん役が吉永さん、おばあちゃん役が加藤治子さん。蒼井さんも先輩たちのようにずっと女優を続けていくのでしょうか。

「今回、山田監督、吉永小百合さん、加藤治子さんとお仕事をさせていただき、"ずっと好奇心を持っていれば、時はあっという間に過ぎる"のだろうなと思いました。素敵なことですよね。「私もそうなれればいいな」と思っているのですが、役者は先が見えない仕事です。この先もお仕事をいただけるかわからないですし、オーディションを受け続けているかわからない。自分の気持ちも続くかどうかもわからないですし、わからないことだらけです。それに、役者としてだけではなく、自分の人生として吉永さんの年齢までのビジョンはまったく見えていません。どうなっているんでしょうね(笑)」

―― その年齢でしかできない役を想像すると楽しいかもしれませんよ、小姑とか。

「それはちょっと楽しそう! やってみたいです(笑)」

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