
- 『鈍獣』
監督:細野ひで晃
脚本:宮藤官九郎
出演:浅野忠信、北村一輝、ユースケ・サンタマリア、真木よう子、佐津川愛美、南野陽子 ほか
2009年5月16日より シネクイントほか全国順次ロードショー
『鈍獣』公式サイト
http://donju.gyao.jp/
(C)2009 「鈍獣」製作委員会
<STORY> 編集者・静(真木よう子)は、失踪した作家・凸川を探すため、部屋にあった名刺を頼りにすべてが相撲中心に回っているおかしな田舎町のホストクラブ"スーパーヘビー"にやって来る。そこで出会ったのは凸やんの同級生でオーナーの江田(北村一輝)、警官・岡本(ユースケ・サンタマリア)、江田の愛人・順子ママ(南野陽子)、ぶりっこホステス・ノラ(佐津川愛美)という怪しい面々。凸川名義の小説「鈍獣」で、25年前の知られてはいけない過去を暴かれた江田と岡本は凸やん殺害を企てるが、殺しても殺しても凸やんは死なない・・・。

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浅野忠信
73年横浜生まれ。90年『バタアシ金魚』で映画デビュー。以降、国内外の名だたる監督の作品に多数出演。 08年チンギス・ハーン役で主演した『モンゴル』が第80回アカデミー賞外国語作品部門にノミネート。俳優のみならず、監督、ミュージシャンとしても活躍。6月には『eatrip』、『剱岳 点の記』が、秋以降に『ヴィヨンの妻~桜桃とたんぽぽ~』、『スノープリンス』が公開される。
『ありえない男を演じるには
いつもと反対の道が正解だった』
ぼっちゃん刈りに蝶ネクタイ、派手なジャケットに原色の丈短パンツ。浅野さんがイメージ一新で演じているのは、殺しても殺しても死なない世界一鈍い男、凸(でこ)やん。浅野さんはじめ、北村一輝さん、ユースケ・サンタマリアさんなど旬なイイオトコたちが、大真面目にダメなオトナを演じる映画『鈍獣』についてききました。
―― 宮藤官九郎さんが05年に岸田國士戯曲賞を受賞した伝説の舞台『鈍獣』。映画化にあたりストーリーを練り直したという宮藤さんの脚本を最初に読まれて、どんな感想、どんな演技プランを持たれましたか。
「宮藤さんとは一緒に仕事をしたかったので、お話をいただけてうれしかったです。最初は凸やんという人物がさっぱりわからなくて、どう肉付けて、どう演じるべきか想像が付きませんでした。この役を演じるのは大変だな、というのが第一印象でした」
―― 撮影に入ってからキャラクターを作っていった?
「はい。ひとりで考えていてまとまらなかった凸やんの人物像も、共演者と一緒に演じることで見えてきました。それからは、このタチの悪い男が、皆にどのような影響を与えるのかが楽しみになりました。ありえない男だから、いつも正しいと思っている道と反対に行くのが正解。ふざけていると思われるんじゃないか、怒られるんじゃないか、引くんじゃないか・・・って方向が"正解"だったんです。これまで構築したものを壊し続ける作業ともいえました」
『スタッフも引くくらい
くだらない話でニヤニヤしてました』
―― 凸やん(浅野さん)、江田(北村一輝さん)、岡本(ユースケ・サンタマリアさん)の同級生コンビが物語の主軸ですが、お二方とは初共演とのこと。どのような印象をお持ちでしたか。
「北村さんはずっと気になっている俳優さんでした。撮影に入ってから、北村さんのこれまでの苦労や努力など、いろいろなお話を伺い、仕事への取り組み方に魅力を感じました。そういう真面目で熱いところが演技に出ているから、惹かれたんでしょうね。ユースケさんは、嘘のない人。いつも下痢をしているんです(笑)。きっとデリケートな人なんですよ。TVのイメージだけで判断しちゃダメですね。一生懸命な人です」
―― 現場での3人はどんな感じでした?
「本当の同級生のように、くだらない話ばかり。休憩時間にはスタッフも引くくらい、くだらない話でニヤニヤしてたり(笑)。高校の部室のようでした。撮影が始まると、ふたりは役に入るためにモードを切り替えるんです。でもボクはありえない男、凸やんなので切り替え不要。切り替わったふたりに対して、休憩モードの楽屋ネタをアドリブで仕掛け、イヤがられていましたが、それが凸やんですから(笑)。そのアドリブが採用された所もあって、完成作を見た時にユースケさんと爆笑しました」
―― 3人のキャラクターを分析してください。
「凸やんは野生動物。人のことはまったく考えない、本能のみで生きている男。タチが悪い人間です(笑)。江田くんは、一番の被害者です。凸やんにイイトコロを全部持っていかれてしまう。岡本くんは、調子がいい。でも、彼くらいが一番イイ立ち位置なんですよ」
『クドカンのテーマは深い
人は誰にでも役割がある』
―― 3人の友情が作品のテーマのですよね。
「真面目に語ってもしょうがないドタバタな部分と、すごく真面目に受け取れる部分がある映画です。人は自分の役割を知りたいもの。誰にも必要とされないなんて、生きていて寂しいですよね。この3人はメチャメチャだけど、それぞれに役割があり、互いを必要とし、そのことを理解し合っている。宮藤官九郎さんは、「この世に生きている人に不要な人はいない」ということが書きたかったんだと思います」
―― 最後に、この作品の見どころを教えてください。
「このようなメチャメチャな役は初めてなので、まず、そんなボクを楽しんでください。ダメなオトナたちのキャラクターの濃さ、ドタバタは単純に面白いと思います。でも、そのメチャメチャな中に友達同士の素晴らしい関係性が見えるステキな作品です。是非、劇場で見てください!」
「人間とは鈍い獣なのである」と文学賞候補になった著作「鈍獣」のあとがきに凸川は書いている。江田と岡本を窮地に追い込む「鈍獣」の作家・凸川とは凸やんなのか? なぜ凸やんは死なないのか? イイ人なのか、悪い人なのか? クドカンが仕掛けるハート・ボイルド・ミステリー。果たして謎は解けるのか?
(取材・文/坂本ゆかり )
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