- Disc&Book 1


- 映画:『パコと魔法の絵本』
2008年9月13日 全国東宝系ロードショー
(C)2008 「パコと魔法の絵本」製作委員会
本:『ガマ王子対ザリガニ魔人―パコと魔法の絵本』
主婦と生活社 3,390円
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- Disc&Book 2


- DVD:『嫌われ松子の一生』
ASBY-3597 3,990円
本:『嫌われ松子の一年』
ぴあ 1,365円
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涙を止める方法知ってる?
簡単です。
いっぱい泣けば止まります
今回は新作映画と関連DVDをご紹介します。『下妻物語』『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督の最新作。一代で大企業を築きあげたワガママなクソジジイ・大貫(役所広司)は、病院で事故の後遺症で記憶が1日しか持たない少女・パコ(アヤカ・ウィルソン)と出会う。毎日同じ絵本を読むパコとの交流で、優しい心を取り戻していく大貫。残ることのないパコの記憶の中に何かを残そうと入院患者たちと奮闘する。
パコが毎日読んでいる絵本が『ガマ王子対ザリガニ魔人』。ワガママなガマ王子が自分を省みて皆のためにザリガニ魔人戦うというストーリーと、病院内でのストーリーがシンクロ。俳優達は皆、『チャーリーとチョコレート工場』ばりのメイクと衣装で、監督の作り出す夢の中のようなフェイクな世界で演じる。
パコが天使のようにかわいいのもポイントだが、注目すべきは阿部サダヲ。変幻自在な狂言回しで、笑いをさらう芸達者ぶりを披露。ほかにも上川隆也、妻夫木聡、加瀬亮など実力派俳優がパブリックイメージを超えた怪演をみせている。
中島監督は古くは山口みえの「しばづけ食べたい」や、サッポロ黒ラベル「温泉卓球」篇など多数のヒットCMを世に送り出しCM界の巨匠と呼ばれる男。TVスポットでカラフルな映像を目にしていると思いますが、ポップな見た目に騙されちゃダメ! セットも色彩もCGも役者も濃厚なのに、じんわり淡く切ない気持ちになれる。騙された! って思えるくらい大爆笑の後に大号泣で中島マジックにまんまとハマる。そんな作品です。くれぐれもハンカチをお忘れなく。
中谷美紀に恨み日記を書かせる
鬼才、中島哲也監督の
世界観へのこだわり
教師をクビになり、不倫の末男に捨てられ、風俗嬢に転身。ヒモ男を殺害し、逃亡中にやっと幸せを手に入れられるかと思いきや警察に逮捕される。孤独な老後に不幸な最期。ドン底人生を歩む女、川尻松子(中谷美紀)の一生を描いた作品。悲劇的な人生を送る松子だが、その生き様は"幸せになりたい!"と一瞬一瞬をまっすぐに生きているから、見る者に悲惨さよりも"やりきった"という充足感さえ与えるのだろうか。
本作は音楽も魅力のひとつ。Bonnie Pinkが風俗嬢役で出演し、「LOVE IS BUBBLE」を歌いあげる。他にもミュージカルのようなシーンがいくつも出てくるが、この作り物感も松子の悲愴感を和らげ、エンタテインメント性をUPさせている。中島監督の魅力のひとつがジェリービーンズ・カラーに彩られた人工的な世界。悲惨な話でも、悲しい話でもリアルからフェイクの世界に切り替わり夢の出来事となる。
独自の世界観の形成のためには、役者やスタッフの考えは一切排除するという中島監督。主演の中谷さんも自身の演技をことごとく否定され、罵詈雑言を浴び「2度と中島監督の顔を見たくない!」とまで言っていた。その辛い思いは、監督への恨み言を綴った日記『嫌われ松子の一年』で垣間見れる。とはいえ、中谷さんはこの作品で映画に対する考え方、人生のスタンスまでも変化し、完成作は楽しんで見れたと後に語っているのでご安心。しかし、これに懲りたのか、監督は『パコ~』撮影時には"怒らない"と決めていたとか。
セレブ生活を夢見て本性隠して男性に媚を売る女性に比べ、松子のエネルギッシュな生き方のほうが人としては正しいのかもしれない。でも、いざ自分は・・・と考えるとちょっと微妙。落ちていく女は体験するより、傍観するに限る。
文/坂本ゆかり


















